Artist Interview vol.2 着物デザイナー キサブロー

Photo by Yusuke Baba

今、日本で活動している若手クリエイターにスポットを当て、仕事や考え方についてお話ししていただきます。

Vol.2は創業90年の着物の仕立て屋「岩本和裁」の四代目である着物デザイナーのキサブローさんです。
 
 

Photo by Yusuke Baba

【プロフィール】
キサブロー(Kisaburo)

創業90年の着物の仕立て屋「岩本和裁」の四代目として修行中。
“キサブロー”とは着物業界の革新的存在であった初代・岩本喜三郎から受け継いだ名前。「和服と洋服」、「男性と女性」、全てのボーダーを越えた新しい表現を提案する、今、話題の新進気鋭のブランド。
多摩美術大学情報デザイン学科を卒業後、アートユニット・明和電機に入社。その後映像制作会社にて実績を積む傍ら、家業の修行を開始。
以降、これまでの多様なキャリアで得た知識をもとに、着物のデザインから空間デザインまでを手がけるアーティストとして活動中。着物を通して世界が楽しくなるよう活動を広げる。
 
 

Photo by tousemai

まず、着物は、幅が約36cm、長さが12m程の長い一巻きの布(一反)から作られます。
洋服のようにボタンやファスナーなどを取り付けたりせず、裁断の際にカーブのある線でカットすることもありません。
直線で無駄がない裁断で分けられたそれぞれのパーツを、縫い目が表に出て綻ぶことがないようにしながら縫い合わせて作ります。
手縫いなので糸をほどいての仕立て直しがしやすく、生活スタイルに合わせて何度も作り変えることが出来るため、糸と布が貴重だった時代からずっと作られてきました。
 
 

Photo by Yusuke Baba

 

Photo by tousemai

Photo by tousemai

【《キサブロー》の着物を作る上でのテーマは何でしょうか?】

150年程前に西洋文化が日本にやってきて爆発的に近代化が進み、現代では洋服を着ることが主流となりました。
西洋文化がやってきた当時は、モーニングコートに日本の袴を合わせて着たり、海外の帽子や織物を和装に取り入れて新しい変化を楽しんでいたそうです。
その頃の洋と和がちぐはぐに混ざったスタイルに興味があり、《キサブロー》の着物は「和服」と「洋服」の境界線を超えて、洋服にも合わせられる和服として挑戦しています。
また、着物の生地は絹や綿の織物を使うのが主流ですが、今日着ているのは麻とポリエステルで出来ていて、雨でも気兼ねなく着られるものです。
着物の利点である作り方という型は崩さず、現代の空気に合った自由な着物を提案したいと思っています。

Photo by Yusuke Baba

【美術大学に入学される際にはもう和服の世界に飛び込もうと思っていましたか?】

それは全く考えていませんでした!美大ではインスタレーションを専攻していました。卒業制作では10mもある巨大なシーソーを作って、ガテン系だったので今と全然ジャンルが違いますね(笑)
大学卒業後は明和電機(※)に就職。2年間、一流アーティストから物を創る精神と技術を学ぶことが出来ました。
(※明和電機:日本の現代美術ユニット。作業服をまとい、社長、副社長、経理、工員と互いを呼び合って活動を行っている。作品は「製品」、展覧会は「新製品発表展示会」と呼ばれ、そのユニークなパフォーマンスで国内外でも注目されている。)
その後はもっとエンターテイメントの現場を見てみたくなり、映像製作会社へ転職しました。
AD(アシスタントディレクター)として番組製作に携わる中で、フランス・アメリカ・シンガポールなどの海外ロケに行くことも多かったです。
その際に実家で仕立てた着物を持参して着て行ったのですが、やはり海外の方からの反応がよく、その時初めて自分でも着物ブランドを作ってみたいと志すようになりました。
 
 

<展示会で訪れた台湾にて>

【2015年に行った台湾での展示会の時の感想を教えてください。】

皆さんフレンドリーに「着物着てみたい!」と声をかけてくれたり、日本の文化を知ろうと日本語で話しかけてくれたのが印象的でした。その時仲良くなった台湾の方とSNSを通じて未だに仲良くしています!
 
 

Photo by Yusuke Baba

【現在製作中の次回コレクションについて教えてください。】

今年10月に次回のコレクションを発表予定です。コレクションのテーマは《いなせ》。

《いなせ》とは江戸時代に流行した言葉で、江戸の若い魚屋さんが「鯔背銀杏(いなせいちょう。鯔の泳ぐ背中の形によく似た丁髷のこと)」という髪型をしていたことからそれを省略して出来た言葉だそうです。
本来の銀杏は正面に真っ直ぐ髷がくるのですが、少し曲げるのが《いなせ》。魚屋街で働く職人気質で威勢のいい若者が、ピシッとしたまとめ髪をあえて崩すのがカッコいいとされていたそうです。
スタンダードな型の中で時代の空気に合わせて少し崩す事が《キサブロー》のブランドの姿勢と似ているなと思い今回のテーマに決めました。私なりの《いなせ》を表現します。

Photo by Yusuke Baba

【《キサブロー》の海外での活動を教えてください。】

今年の10月にブラジルで行われるファッションの国際会議に参加します。
現地では「着物とジェンダー」についての講義と着物の作りのワークショップを行ってきます。
日本ではオフィシャルな場所だと男女で同じ一人称(私)を使ったり、海外の言葉や服装、食べ物でも垣根なく楽しんで、昔からボーダーレスでフラットな感覚で新しいものを受け入れるのが得意なように思います。
一方、ブラジルでは挨拶や名詞でも男女で使う言葉が違い、あらゆるボーダーがはっきりしているそうです。
日本の文化や《キサブロー》の着物についてお話しすることによって、多様性を受け入れる心、新しいことを取り入れるという楽しさを知ってもらえたらいいなと考えています。
ブラジルでの活動も展示会で発表予定です。是非10月の展示会にお越しください。
 
 

キサブロー(Kisaburo)
Webサイト:http://kisaburo.xyz/
Twitter:https://twitter.com/KISABURO_X
Instagram:https://www.instagram.com/kisaburo_x/
 
 

Writer: peco*

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